今度は愛妻家(2010 行定 勲)@新宿バルト9SC7

80年代前半を席巻した、今から思うと何事だったのか説明しがたい薬師丸ひろ子ブームをローティーンで体験した行定勲が彼女にささげた映画というふれこみで、場内はメインターゲットたる俺くらいの年の夫婦づれが結構めだつ。もちろん後半の泣かせどころで鼻をすするのは旦那のほうである。薬師丸ひろ子って非常に特異な存在であることは間違いないと思うんだけど、女性側からはごく行儀のいい反応*1しか聞かず、しかしあんまりディスられたこともないという、そこらへんの不思議が今なお生きている感。
夫婦仲良さそうにみえて実は危機的状況にある薬師丸と豊川悦司の夫婦のメインストーリーと、彼らをとりまく年配のオカマ(石橋蓮司。余裕の好演)や若いカップル(水川あさみ濱田岳)のエピソードがあまりかみ合わない形でつづられるのだが・・・。俺オリジナルの舞台版は観てないけど、話の好き嫌いはさておいてこの台本は「映画ならいかようにも撮れる話をうまく舞台向けに構成した」という点で少なくともそのアイデアやよし、しかしそれを映画にする際に「元が舞台だから多少不自然なのはしょうがないか」と客に思わせてしまう映画の作り手はなんなのかという・・・志がどうとか言うまえに単純に頭悪いと思ったです。終盤のしつこい泣かせに幻惑されて薬師丸と豊川のコンビネーションが見事、みたいな錯覚に陥るかも知れないが、これ決してうまく行ってないので(二人とも実は飛び道具なことを監督がわかっていない)よろしくお願いします。

*1:清潔感があって素敵、とか年を感じさせない可愛さとか