いぬのえいが (2005 犬童 一心、黒田 秀樹、黒田 昌郎、佐藤 信介、真田 敦、永井 聡、祢津 哲久)

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あまり出来が良いとは言いがたいオムニバス映画だが、劇場に訪れた犬オーナーたちがちょっと微妙な心持ちになり始めている頃合に、最後の悪い悪い短編「ねぇ、マリモ(宮崎あおい主演)」が襲い掛かるのであった。たぶん「クイール」一本分くらいの凶悪な催涙効果がこの10分に満たない短編にはあるね。いや卑怯なり。最近は涙腺管理を放棄気味の俺ですが、ここで泣いてはそれまでの1時間半が何だったかわかんなくなっちゃうのでこらえましたよ。しかし飼っている犬を亡くした経験のある人には泣くなといっても無理じゃないでしょうか。
メインのストーリーとなる「ポチ編」は犬童一心が撮っているのだが出来はいまいち。名前の割にあまり犬が好きじゃないんじゃないか? その他も、特に笑わせようとしている部分はほとんど成功していない。バウリンガルを使った田中要次主演のショートコントは笑ったが、ほんとにチョイネタ。
プロデューサーは一瀬隆重。あくどいねえ(褒め言葉)。ただ気になったのは、(俺自身は犬のことはわかんないが)犬好きならハマるようなツボをついた描写があまりないような気がしたところ。「犬が入ってればなんでもいい」という条件であちこちに発注したのか?という感じがある(脚本は三人で、尺の6割は一人が担当しているのでそれはないはずだが)。こういうタイトルで客寄せ(ハイコンセプトってやつですか)してるんだから、そこらへんはもう少しきっちり押さえたほうがいいと思う。ロマンポルノやピンク映画だってまず客が勃ってナンボなわけだしさ。
劇場は8割の入りで、お客さんが何を求めて来ているのかがとても明確な感じだった。「2」があるとしたらもっと上手く作れば、2匹目まではドジョウいるかもな。