ラザロ -LAZARUS-(2003 井土紀州)

 蒼ざめたる馬篇
 複製の廃墟篇
 朝日のあたる家篇 
m@stervisionさんのいうとおり、上記の順番(製作順)で観るべき。(そーするとなぜかBプロ⇒Aプロという流れになってしまうが気にしない)
この順で観ると、「OUT」のような女の集団犯罪のリーダー・マユミがラスコーリニコフ(作中で言及アリ)みたいな犯罪哲学の持ち主、というちょっとした「アイデア」がむくむくとうねって育ち、たぶん作り手がわの意識もマユミによって変えられてゆきながら予期せぬ世界が開けていく感じが味わえます。今の日本で暮らしてる人間が直視するにはあまりにも恐ろしい世界なんだが…というかこの世界なんだが…俺は最後怖かったですよ。パンチラ姉ちゃんジャスコの前(呪文)。
映画の出来はしり上がりに良くなるけど、三作通して景色の見え方はすばらしい(撮影・鍋島淳弘)。パンフ(900円を安いと感じさせる労作)を読むと、三作それぞれの成り立ちもまちまちで、じっさいここで三部作として完成したものを観られるのはけっこう奇跡的なことのようです。ただ、マユミがいかにしてマユミになりしかを描くプリクェルで終わるこの流れが、「朝日〜」の出来が良いだけに、なんだかきれいに収まりすぎる気もしたけど。
かえってきたマユミの次の犯罪を観たいと思います。こんどは活劇で。