アフタースクール (2008 内田 けんじ)

先週「運命じゃない人」の時にもらった招待券で観てきた。お金払っていないので言いづらいけれども、かなり期待していたのを差し引いても残念な出来。仕事の丁寧さは相変わらずで、その点は巷に出回る映画モドキにくらべれば雲泥の差なんだけど、明らかに間違った方向に作りこまれてると思う。以下ネタバレ御免とはいえ仕込みのもろもろを逐一挙げていくのもはばかられるので要点だけ。まず「2回観れば面白い」仕掛けがメインになっているのはいかんでしょ。「運命じゃない人」は1回目で面白い!と思った人たちが確認したくなって2回目を見たのであって、これらは似て非なることであります。それから、サプライズがない(これが一番のサプライズだった)。この人は実はこうでした、という仕掛けはふんだんにあるんだけど、いかんせん視点キャラが触れるのが主に二次的情報で、ウラに何があってもおかしくないので 「てっきりこうだと思い込んでたよ!やられた!」 という気にはならない…というかそれ以前にこのキャラ主筋とほぼ関係なくて、さらにいえば騙されてすらいない*1のだ。あえてそんなやつの視点から描くのであれば、そこから見た物語が示唆的だったりするのかといえばそうでもなく、客に真の情報を与えないためという以上の意味がほとんどないというこの徒労感…そのことを補填するためか、また人物も作り物めき、最後の教室でのやりとりもとってつけたように空回りしてる。最後にあきらかになる主人公の決意とか、基本は善意の良いお話なんだけどこれはこれでストレートに見せたほうが効いただろうし。お話のレイヤーを順にはがしていくことで第一層にいる主人公の状況が二転三転し、それでも最後にはお人よしな主人公にまつわるお話として上手いこと着地する、構成によって犠牲になった人物がいなかった前作からすれば、これは後退でしょう。全体的にちょっと役者がもったいなかった。あと、内田けんじは女性嫌いなのかどうか、俺は今回でむしろ「嫌いっつうか苦手なんだなー」というのをより強く感じた。

*1:泳がされてるけど