少女たちの遺言(1999 キム・テヨン, ミン・ギュドン )

 一部で評価の高い「女校怪談(未見)」の続編ということらしいが、物語につながりはないようだ。
本作は怪談というよりは、女どうしで引かれあってしまったヒョシンとシウン、ひょんなことから二人の交換日記を拾うミナの3人を中心にした青春映画であります。
女子高での普通の生活がリリック&コミカルに描かれているし、いじめの描写なども日常の延長としてしっかり捉えられており好感は持てるが、構成が凝りすぎでわかりにくい。
物語はミナが交換日記を拾うところから始まり、やがてレズビアンの噂を立てられ、シウンにも冷たくされたヒョシンが校舎の屋上から飛び降りて自殺するところから「怪談」パートに入ってゆく。しかしヒョシンとシウンの出会いや、担任教師(男)とも交際していたヒョシンの過去などが何度も挿入されるし、観客の視点となるはずのミナのパートの時制までが一定していない(たとえばヒョシンが職員室のビデオカメラをこっそり持ってゆくところなどは物語上現在時制なのだが、その直前の「ミナがはじめて二人を意識する」過去時制のシーンから繋がるため、えっ、ということは今っていつ?と一瞬わけわからなくなる)。亡霊となったヒョシンの描写や、かなり電波入ってる交換日記とか、いかにも女子高生(でも日本だと中学生くらいかな)がやりそうなテレパシーごっこなど、生活描写以外の怪談のディテールもかなり豊富。全体にディテールがよく出来た映画なので、構成のとっ散らかり具合は残念。まあこの乱れ方が、この時期の少女の内面の混乱をよく表現している・・・んですか?
担任教師だけは木偶の坊な感じだったが他の役者は総じてうまいです。ミナの友人で、ヒョシンたちに興味を持ったミナに不満をもち、からむようになる女の子が篠原ともえ似で、昔の篠原的にうるさくてたいへんリアリティがありました。