愛欲の罠 (1973 大和屋竺)

一角座は初めて。東京国立博物館敷地内なのは知っていたが西口からしか入れないんだなあ。ちょっと遠いぜ?

ファーストルパン直撃世代の俺がもってる大和屋竺のイメージにがっちりはまる映画(そもそもは「続・殺しの烙印」として始まった企画だったらしい)。
組織に雇われた殺し屋同士の戦いというおなじみの図なのだが、いいもの持ってるが一流になりきれない主人公の前に現れる、最強の殺し屋がなかなかすごい。いっこく堂みたいで

汚れたコート着た長身の男が、身長1m位の腹話術人形(フランス人形風)をつれている…んだけど実はこれ人間で、甲高い声でしゃべる(中の人は男)。どっちも手にはリボルバーを持ち、球七球八にマスター&ブラスターもかくやのツープラトン攻撃が得意。最初は「男がつれている人形がしゃべってる」状態に見えるのだが、映画が進むにしたがって、実は人形のほうが本体というのが明らかになる。
またこの人形の顔がサスペリア2ばりに不気味でなあ。顔を白塗りした背の低いおっさんのほっぺたにこぶをくっつけてテカリを加えてるだけなんだが、相当アップになるまでお面かぶってるのかメイクなのか判別がつかない。高英男チックな人形顔のおっさんなのである。主人公が入り浸っているちょんの間の娼婦をこいつが犯して殺すところは猟奇で素敵。

空間の連続性を微妙に無視した狙撃シーン、スコープ目線で黄泉がえる絵沢萌子、モデルガンによるロジカルでナンセンスな果し合い等々、観なくちゃ何のことだかわからない名シーンの数々をへて、うちの会社のセミナーでこないだ使った珍妙な某施設(35年前とまったく変わってない)を舞台にした最後の死闘のあとには、映画史上最も折り目正しいエンディングが待っている。
俺は「殺しの烙印」よりこっちのが好きだ。