サッド ヴァケイション (2007 青山 真治)

「EUREKA」のキャラも何人か出てくるが、役所広司が演じた「EUREKA」の主人公・沢井真は死んじゃってる設定(とは後で知ったんだが)。だからというわけじゃないが、これはまぎれもない「Helpless」の続編。
前作では光石研ふんする安男さんが運んできた暴力的な風を、本作では前半に出てくる中国マフィアが一手に引き受けていてちょっとしびれる(マフィアのリーダー役の役者がすごいんだけど、公式サイトには載ってない。日本人だと思うんだが)。間宮運送の床の血だまりが最凶。
浅野忠信の健次は、10年の歳月で揉まれた部分はありつつもやはり隠し切れない粗暴な顔つきが秀逸で、やっぱ俺的には浅野=健次である。そのほか男性陣は斉藤陽一郎光石研(今回は「EUREKA」のシゲオとして登場)のレギュラー陣から、川津祐介中村嘉葎雄のベテラン勢まで安心して見れる。*1
でも浅野忠信が自分と父を捨てた母・石田えりに復讐しようとしてドツボにはまるという主筋がいまひとつ。「青春の殺人者」の市原悦子クラスだったらともかく石田は怪物的な母親ってわけでもなく見えるのに、健次の負けざまがかっこ悪すぎてなー。もうちょっと健闘しろよ。
「インターナショナルを口ずさむ父親」と双璧で前作の最大の萎えポイントだった、安男の妹・ユリwithウサギも再登場(演ずるは前作と同じく辻香緒里。この人を見るのはひさびさだなー)。くわえてなんとなくぼんやりした女性キャラが何人か出演するけども、こんなにいらないよ。ユリは続編だからしょうがないとして、あとは石田えりだけでいいんじゃ?
カメラはたむらまさき。「エリエリ」の釧路の風景がすばらしかったのに引き続き、今回も中盤にあらわれる平尾台の奇景が印象的(俺の地元だけど実際に行ってみるとこんなに映える土地じゃないんだよね)。

*1:オダギリは(ry