いのちの食べかた (2005 ニコラウス・ゲイハウター)

レイトでやってる「ラ・ヴァレ」を続けて観るかどうか迷ったがやめておいて正解。疲れた。すごいものをみせられたからというよりは、音楽・ナレーション一切なしのスタティックな工場映画だったので、かなり集中力が必要だったわけ。画を並べただけで何もいわないってのは、作り手としてはなんか意図を読み取られちゃうとマズい気がしたのかもしれないが、だがしかしそこらへんはね。野菜工場でゆっくり農薬撒いていく巨大機械とかばっかりで飽きてくるころを見計らって、中盤に豚、終盤に鶏・牛の屠殺が入っているという構成を見てみれば、越後屋おぬしも…という感じでございます。「ソイレント・グリーン」見たくなりました。
一番キタのはやっぱ牛の処理シーン、逆さづりの牛の「血抜き」をするところ。奇妙な形の刃物でノド掻っ捌くと、室戸半兵衛(仲代のほう)もばっと飛び下がって土下座するほどの血が噴き出すんだけど、それはまあ予期してたんでどってことなかった。ところが同時にこの牛の口から、明らかに血ではない、黄色がかった透明な液体がドバーっと、延々長い間流れ出しつづけるのである。胃液?尿?リンパ液?何だよこの液体。むぎ茶と思い込んでめんツユを飲んだ瞬間のような生理的割り切れなさに襲われ、正直ここはかなり気持ち悪かったです。
もちろんこういうものを見た後は「いますぐ肉を食えるかどーか」のチャレンジを行うのである。牛丼無事に完食したが、紅ショウガが普段より大量に必要であった。年だな。