2008年春改編 しょの二

  • 今夜はふたりで

そういうわけで日曜日の秘密基地*1サブカルジェッターほかもろもろおわり、ナイターの影響がほとんどない時間帯のこの番組も終了である。立川談志爆笑問題・太田が毎回お題を頂き、曲(なぜか最新のヒップホップ・R&B系の洋楽)をはさんで30分間、筋のとおった話はいっさいせず駄洒落と自由連想中心のナンセンスな言葉のやりとりを続ける。
こういうのが毎回腹を抱えるほどおもしろかったら演者か俺のどっちかが頭がおかしいのであり、聴く側の姿勢としては「くだらないねー」とニヤニヤ笑いつつも、ふたりのやりとりがハジけて正気の地平から離陸する瞬間を逃さないようにしようと思っていたのだが、「くだらないことしかいわない」というルールにあくまでのっとったためか、談志が出てきてしゃべくる番組としてはむしろ異例なほど緊張感がなかった(マジメな会話だと談志が途中で切れたり拗ねたりして最後まですすまないことも多いし、緊張しない番組があってもいいんだけどさ)。
かつて「爆笑問題カーボーイ」において、不条理なほど延々と相方の田中を責めつづけることによってものすごい嫌な空気とともに狂気を電波にのせていた*2太田も最初の数回こそ緊張気味だったもののすぐに転がしかたをこころえて、それからは適当に言葉遊びをしつつときどき突っ走ったりつまづいたりする談志の相手を心底楽しげにやっており、やってることのアナーキーさとは裏腹に、危うげのないトーク番組のように聴ける番組だった。
この番組にちょっと期待していたのは「カーボーイ」で、この番組の原型といえる30年以上前に毎週やっていた談志と月の屋円鏡(現・橘家圓蔵)のナンセンストーク番組を、談志から渡された貴重な録音テープで聴いた太田と田中の話しぶりがあまりに面白そうだったから。40そこそこの気鋭の落語家ふたりが心底くだらない会話に骨身を削ってそれがときおりチャック・イェーガーばりに音速の壁をこえる瞬間があったのだろうなあーとか想像してしまったのである。いまよりずっと鋭かったはずの談志に対して、彼よりお茶の間人気が高くとがったイメージのなかった円鏡も内心喰われてなるかと燃えていたに違いなく、そんなふたりの真剣勝負、芸人ならずとも一度は聞いてみたい。そのテープ売ってくんないかなあ。
まあ談志はもちろんのこと太田だってその頃の談志たちより年は上なんだよな。ラジオ好きとしてはこういうことをやろうとしてくれただけでありがたいとは思う。「今夜はふたりで」みたいなある種のムチャは、むかしは無責任な新入りや若手が怒られながらやっていたと思うんだが、いまはベテランのわがままという形でしか通らないんだろう。それでも聴く人間がどこかにいる限りおもしろかろうがつまらなかろうが、「なんか変なこと」はラジオの片隅ででもつづくべきなのだ。
で、今週からこの時間帯を誰がやるのかとおもったら、この人らしいです。喋れるのかしら。
 
あと、ネット上の古い番組表を確認していたら・・・こんなのやってたのか。

知ってたとしても聞かなかった気はしますが。提供がガリバーなのでジャンプ賞ロード賞は出なかったと思われる。

*1:いつもと変わらないグダグダな終わりかたでホッとしました

*2:ずっと聴いていると、それにキレるでもなくただひたすら困っているだけの田中からも「まともじゃない」においがプンプンし始めるのだった