ブラックサイト (2007 グレゴリー・ホブリット)

しんちゃんのあと時間が余り、ミラノ2で。もともと観る予定はなかったけど、5月で期限切れの歌舞伎町シネシティのカードが9月まで延長になった(つうか、もうずっと続くんでしょ?これ)のでそのハズミもあって。しかし上映中に、この時間は東中野で「人のデビュー作を笑うな」を観るつもりだったことを思い出し落ち込む。俺のあほう。「スシ王子!」にしてたらじぶんを許せたろうか。ミラノの表に設置された大型モニターにかかる予告編のなかで映像の吸引力がいちばん高いのが「スシ王子!」なので、ひょっとしたら面白いかも、と思っているんだけど。
ブラックサイトの話だった。だいたい事前の予想をうらぎらないB級サスペンス。拉致監禁された被害者をずっと固定カメラで中継する実況殺人サイトがある日突然たちあがる。アクセスカウンターが上昇すればするほど被害者の死が早まる仕掛けがほどこしてあり、FBIのサイバー犯罪課のエキスパート(ダイアン・レイン)が調査に乗り出すが・・・。
「ソウ」シリーズ的ピタゴラ拷問ものにネットを関係づけてみたアイデア自体はわるくないけど、アクセス数に比例してプールに硫酸が流れ込んだりヒーターがガンガン温度を上げていったりするだけで、ひたすら漸増してくだけなのが工夫に欠ける。サイトに何種類かのボタンをブラインドで設置し、1個だけを解除(漸減)ボタンにして人助けのつもりでボタンを押させまくるとか、せっかく14点で止まってるのに欽ちゃんの余計なひとことで山本晋也がボタンを押して爆死とか、もっと凝った仕掛けにすべき。そのほうが単純に面白いってことのほかに、ネットの向こうの匿名の恐怖みたいなのも、そういうちょっとだけ垣間見える人間らしさがあったほうが効いてくるんじゃないの。この映画そこら辺が実は結構希薄なんだよね・・・と思ったけど、日本公開にさいして非常に重要な一点、ここをちゃんと押さえておけばネット住民たちが充分不気味な存在として観客の脳内に浮かび上がってくる、というポイントが外されているのを忘れるわけにはいくまい。それは殺人サイトの右サイドに設置されたコメント欄。ここをなぜ翻訳しない。「通報しますた」「タイーホ」「もまえら自重」「この速さなら言える」「オッサンのHPは0よ」みたいな言い回しが(アクセス数のわりにあんまり「速く」ないんだけど)どんどん流れてゆくのをニコ動のコメントみたいにスクロールさせてでもいいから*1流しておけば、日本の観客にも何割かや〜な感じが伝わったはずだし、2ちゃんで祭りになって少しは興行があがったかもしれ、いや無理だな。ちなみに最後のカキコは「うp神に期待」*2だった。

*1:無理って言うな

*2:ちょっと意訳