ノウイング (2009 アレックス・プロヤス)@TOHOシネマズ六本木ヒルズSC2

ある意味において評価の確立したニコラス・ケイジ主演ということもあり、ズバコーン的なトンデモ映画として世間的には通るようになるのはほぼ確実。劇中何度か起こる大惨事の描写や、ケイジの息子に付きまとう影の描写などにあからさまに力点があり、映画の売りとして使われている未来を予見する数字の謎を解明していく部分は定石どおりというか、思わせぶりがかなりつまらないです(ケイジのノイローゼ演技ももういいっす)。が・・・しかしこれは作り手のオブセッションみたいなものが画面のそこここに不気味に滲み出して、小学生のお子様には親に隠れて深夜TVで遭遇しひそかにトラウマを得ておいてもらいたいタイプの作品でもあった。
いつも暗いプロヤストーンからちょっと遊離した50年代調の明るく快活な画面、明快な先生と生徒たちのかたわらで一点の染みのように黒く沈む少女を描いて破滅的な未来を予感させ、そのまま現代の宇宙空間から夜の地球に降りてゆくタイトルバックが美しい。話が急に大きくなって終盤にさしかかるあたりで、ん、このままオカルト方面にいっちゃうのか?と思わせておいて、70年代の名作SF映画と50年代の名作SF短編小説を接木したオチにたどり着く。ごく短い破壊描写の勢いとタイミングにこないだヒマネタで紹介したエメリッヒの映画なんかとは違う根性の座り方が見えたのでそこは支持したいと思った。