怪談せむし男 (1965 佐藤 肇)

Yahoo!映画の上映案内にこの映画だけ載ってねえ。
ノートルダム男」という表記をTV欄で見かけた、という話を10年以上前に聞いたことがあるっすが、 「怪談男」キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!! (←控えめ) ってタイトルでもいいのでDVD出してちょうだい。
去年シネマヴェーラで観た監督佐藤肇・主演西村晃「散歩する霊柩車」(かなり面白いブラックコメディ)の翌年に、同じコンビで作られた幽霊(も出てくる)屋敷ものホラー。ある男が精神病院で狂死し、その未亡人が遺産として古い別荘を受け継ぐ。その洋館には、不気味なせむし男(西村晃)がいた---。

そんなに広くも感じられないこの屋敷 (外観は他の映画でも見覚えありますな) 内で怪奇な出来事が続発するのだが、火葬中に突然!起き上がる死体にかぶさるタイトルから始まって、霧の洋館に住む神出鬼没のせむし男、パズズみたいな謎の石像、なぜか屋敷の中に起こるつむじ風、あちこちから聞こえる女の悲鳴、英語で恨み言を言いながら消える外人の幽霊(ジェーンって結局誰?)、井戸の中から現れる女の死体、突然玄関の戸をたたく霊媒の婆さん、交霊儀式中におかしくなって夜の屋敷を歩き回る娘、しまいに次々と殺しあい倒れていく登場人物たち。「やりたいことを全部やる、入れ物が壊れようが溢れようが知らん」という決意でもしたんだろうか、1本に3,4本分くらいの因縁話を詰め込んで、それぞれの因果も興が乗れば説明すっか、てなくらいのスタンスでどんどんどんどん展開する。後半はなんだかもうあいた口が福生柄nighy(つーかごめんちょっとだけ寝た)。
しかし、この脈絡のなさ、行き当たりばったりの流れの中にたしかに地獄は存在している!(と高橋洋ならいうであろう)。
「妄執」と「異形」のクールな描写に冴えを見せる佐藤肇が、結構はぶっちぎって描写のみで押し切ったこれ自体が異形な一作。正直あまり期待してないとこに意外なパンチ食らったので、隙を見てもう一回観にいこうと思ってる。