ホステル2 (2007 イーライ・ロス)

↓ネタバレ気味ーシェルター↓
 
役者の面(つら)セレクトが相変わらず上手いとは思ったものの、前作にあった巧みさが後退してかなりストレートになった印象。
前作の野郎3人ボンクラツアーズは振り出し時点では誰が主役かまるでわからない、っつうかどうでもいい感じなのが、人間狩りクラブにとっつかまるや(ストーリーの流れで察しがつくのとはまた別に)生き残るヤツの顔がはっきりと際立つようになり、でも劇場を出ると顔の印象はすぐにフェイドアウトして無名の恐怖だけが残る、という絶妙な演出が  …今気づいたがこれは監督のセンスがどうこうとかじゃなくて俺がボケているだけな(ry…  えーとですね、今回生き残るヤツに関していえば、クライマックスでヒネリのない形で伏線が回収されて助かっちゃうので拍子抜けしたってのはあるかも。ちなみに今回の獲物はスパでリフレッシュ&東欧男とのアヴァンチュールを求めてまんまと罠にはまった美術大の女子学生です。
前作で人間狩りクラブの存在は明らかになっているので、本作では新機軸としてクラブに参加する金持ち側からの視点を導入。このクラブ、獲物を顔写真で選んでオークションで落札するシステムになっており、女子大生たちを競り落としたのはアメリカ人エリートビジネスマン2人組。これで本物のオトコになったるぜ、と初体験に舞い上がるマッチョタイプと、強引に誘われたっぽい及び腰な恐妻家タイプ。はたして彼らは無事にビッチどもをぶっ殺してオトコになれるのか?現地に着き、夜祭りに繰り出した獲物たちを遠巻きに双眼鏡で確認するはずが、恐妻家のほうがターゲットの娘と接触してしまい…という展開に。
普通の映画なら、この時点で最後に残るのはこの2人つうのが大体わかってしまうが、しかしこの監督ならこれをひっくり返してくるんじゃないか、とつい思っちゃったのが俺の敗因。前作だってヒジョーにストレートな終わり方をするし十二分にコメディだけど、すくなくとも初見では終幕まで素性が読みきれない映画という印象が強かった(描写が的確なのでマグレはないと思わせるのがさらに深読みを誘う)。しかし今回はクライマックスに至ってはっきりファルスってのが分かるし、そうであれば金で立場を逆転させてクソ男のチ○ポちょん切って(ついでにクソ女の首もちょん切って)終わるってのは王道だよね。男としてそれでどのくらいの女性客がスッキリするのかは知りたいところですが。
しかし改めてイーライ・ロスって筒井康隆だな。今回は女性が勝ってしまうが、その勝ち方も含め筒井っぽい。だから、ってなにがだからなのか良く分からないけれども、次はスターが出てくる映画を撮ってみてほしいと思った。007の新作なんかどうかね。
 
そういえばチラシやポスターの逆さ吊り女がヘザー・マタラッツオであることに何人が本編を観る前に気づいたであろうか。ちょっと気になる。