パーク アンド ラブホテル (2007 熊坂 出)

無愛想なおばちゃん(りりィ)が女手ひとつで切り盛りするラブホテル。屋上はなぜかブランコやシーソーまである小さな公園で、近所のひまをもてあました爺さん婆さんや学校さぼった小学生たちのたまり場になっていた。そこにひきよせられるように集まってくる孤独な三人の女たち(梶原ひかり、ちはる、神農幸)とかかわるうちに、おばちゃんの心境もゆっくりと変化してゆく。
最初にでてくる家出娘(梶原ひかり)がラブホに続々入ってゆく爺婆やこどもたちにつられるように乗りこんだエレベーターの中で居合わせた小学生に聞く。「上に何があるの?」「アジールだよ。せいいき」
ん? 
やがて屋上についたエレベーターの扉がひらくと、そこは北新宿*1でありながら北新宿でないどこかにあるユートピア。爺さんたちが将棋をうちこどもたちがシーソーで遊ぶなか、屋上公園の一角に陣取った楽隊は、どう聴いてもプロの女性ヴォーカル、バイオリンにコンガ(みたいな太鼓)という編成で、奏でるのはなんでかジプシーミュージック。はいここでタイトル出まーす。
………この時点で んんんんんんん駄目だあぁあぁぁ となった俺の予感は的中、その後の100分はひたすらキビシかった。いや、いいところもある映画ですよ?三章あるエピソードのうちふたつはふつうにいい話だと思う*2し、りりィと女たちがかわす会話のいくつかは印象的*3
まああの、「かもめ食堂」みたいな映画をつくりたいんだったら俺が悪かった。そうでないのなら相米慎二の「光る女」のラストシーンを一晩に284回観るとりっぱに呪われるのでがんばってください。

*1:うちの会社がまえあったとこの近所

*2:最後のやつは最低だとも思う

*3:りりィとちはるがはじめてまともに会話するシーンはぶっきらぼうでなくまともに喋るりりィの演出ができてなくて壊滅、神農幸が屋上でりりィに説教をいれるくだりは神農のキャラが成立しきれてないのに延々とりりィのクローズアップで押しきろうとして惨敗してたりするけれど