レイトン教授と永遠の歌姫(2009 橋本 昌和)@109シネマズ川崎 SC5

ゲームには触ったこともないけど今週のタマフル(まだ未聴)のお題映画になっていたしということで時間合わせで。映画冒頭部、大学で講義しているレイトン教授がシルクハットかぶったまんまなのにムッとしている時点でこの映画の客じゃないんですけどね。
ごくシンプルなキャラデだから画面デザインが命かなーと思っていたがその点ごく普通、なのでスクリーンで観るには辛いです。歌のシーンがとくに。
ゲームでやればレイトン教授=プレイヤーが(多分)一個ずつ解いていく謎→回答をそのまんまダンゴ状につないでいるだけなのでぜんぜん映画としては謎解きになってねえんですけど、とか基本的なところに問題が多すぎる脚本ですが、ピンチに駆けつけるのが×ャ×ロコ×タ×(もどき)だとか謎の宝が××下に×んだ××だとかのオリジナルきわまりない発想は、脚本書くときに頭をよぎった瞬間に却下しないと今後は刑事罰がつくようになりますから注意してください。
しかし一番どうかと思ったのは、巻頭にこれまでのゲーム作品の紹介と今作がその映画版である旨がレイトン教授大泉洋)自身のナレーションで説明されるところ。俺みたいな一見の客もいるわけだからそのための配慮のつもりなんだろうけど、問題は「レイトン教授のこれまでの冒険の紹介」としてこれから始まるおはなしにうまくつなげるような工夫一切なしに、「ゲーム」「映画」とそのものズバリ媒体や商品の名前を言い切ってしまっていたこと。CMじゃなくて本編の冒頭でだよ。客にマナーを要求するんなら作り手側も守るべきもんがあるんじゃないの。

今月横浜のジャック&ベティで瀬田なつきの作品がまとめて観られるようなので、前売りを買うついでに109シネマズ川崎で「アバター」をIMAX3Dで観てこようと遠出。ここは初めての劇場ですな。
録音した今週の「爆笑問題カーボーイ」、「妙に変だな〜」のコーナーで別々のリスナーから来たイカのネタが奇跡的にかぶるところを聴いてニヤニヤ笑いながらシネマジャックの窓口で尋ねたら「券は今日の夜にくる予定ですが…席指定も整理番号もないので、当日に買われても同じです」 そうですか。鹿島屋のらーめんがそこそこ美味しかったので今日はいいです。*1
この流れからアバターの席がSOUL’d OUTしていることを直感しながら109へ向かうと案の定な展開に。最終回は残ってたんだけど、終映がタクシー確定の時間なのよねー。
まあそれでも映画は観てきた。109デーで1000円だったし。

*1:劇場、スタッフともいい感じだったことは付記しておこう

壁の中の秘事(1965 若松 孝二)@シネマヴェーラ

映画そのものよりその後の中原昌也真魚八重子のぶっちゃけ過ぎなトークショーのほうが面白かった。いいことひとつも言ってない。「ダッチワイフ」はあまりにもキワキワすぎて傑作と言いだす人が出てきてもおかしくない気がしたが多分錯覚。

2009年ベスト・邦画

1 愛のむきだし(園 子温)

    • これを退けて1位になる映画を待っていたんだがなあ。

2 あとのまつり(瀬田 なつき)

    • 言い方悪いが銭になる監督候補ナンバーワンだと思う。

3 パンドラの匣(富永 昌敬)

    • 女優が全部よい。脇の看護婦にいたるまで「イングロ」第一章の農家の娘並み(なんだそれ)。

4 マイマイ新子と千年の魔法(片渕 須直)

    • 不恰好な節くれのめだつ映画だけど「サマーウォーズ」の根拠レスなさわやかさより断然こっちを買う。

5 のんちゃんのり弁(緒方 明)

    • 「釣りバカ」が終わる年に怖じずに作られた普通の娯楽映画の代表として。

6 ヴィヨンの妻(根岸 吉太郎)

    • 原作短編小説からの肉付け部分に「田中陽造で賞」をさしあげる。

7 ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破庵野 秀明)

    • スクリーンを圧倒するこの巨大感はミニチュア特撮で育ったものにしか出せないわけなのですよ。

8 空気人形(是枝 裕和)

    • ペ。

9 私は猫ストーカー(鈴木 卓爾)

    • 上の「空気」ではティピカルで粗雑な役をあてがわれていた星野真理がよい。

10 罪とか罰とかケラリーノ・サンドロヴィッチ

    • ケラは映画の監督しないほうが・・・と思っていたらこの作品が来て一安心。

2009年ベスト・洋画

1 チェンジリングクリント・イーストウッド
2 母なる証明ポン・ジュノ

    • ということで’09年は母もの2本が突出。1:あの超むかつくジェフリー・ドノヴァンの警部に向かって俺の三つ隣の席で終始毒づいていた外人のおじさんが印象に残る。2:夕陽に逆光の主人公のシルエットにフラメンコギターっぽいテーマ曲がかぶるラストシーンに、自分の中の「特捜最前線(たしか似たようなエピソードがあったと思う)」スイッチが入り滂沱の涙が。

3 アンナと過ごした4日間(イェジー・スコリモフスキ)
4 アバンチュールはパリで(ホン・サンス

    • 母ものに続いてはだめ男もの2本。3:中村れい子のように「サンタクロースが来たみたい」とは言ってくれないアンナ。そりゃそうだ。ポスターの惹句が劇中で発声されるところがよかったです。4:いつものホン・サンスなんだけどパリが舞台になると出てくる男女のどうしようもなさが一層際立つ気が。

5 レイチェルの結婚ジョナサン・デミ
6 夏時間の庭オリヴィエ・アサイヤス

    • 家族もの2本。5:というかむしろ姉妹ものの傑作。6:撮影賞はこの作品(エリック・ゴーティエ)で。

7 サーチャーズ2.0アレックス・コックス
8 イングロリアス・バスターズクエンティン・タランティーノ

    • 復讐(&映画ヲタ)もの2本。7:この監督の荒れ地趣味がビデオ撮りのやっすい画面とベストマッチ。最後の「対決」には感動した。8:第一章があまりに出来すぎていて不安になったが、バスターズの登場でホッとする。「ベンジャミン・バトン」を観ていない俺にとって今年のブラピはアホ演技専門役者でした。

9 カールじいさんの空飛ぶ家(ピート・ドクター ボブ・ピーターソン)
10 グラン・トリノクリント・イーストウッド

    • じじい(と東洋人の子供)もの2本。9:頭のアレの出来が良すぎたせいでそのあとが続かないイマイチな感動作と思われているフシがあるが、これはスカイアクションの秀作ですよ?10:集大成映画には違いないが(「ダーティファイター」+「センチメンタル・アドベンチャー」)/2、くらいのスタンスで観ておきたい1本。